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なぜ、フィンランド人は夏の4週間を湖のコテージで過ごすのか?

この連載は、フィンランドで生まれ育った私が、日本のみなさんに「フィンランドのシンプル」をお伝えするものです。私の最新作『フィンランド人が教えるほんとうのシンプル』(モニカ・ルーッコネン/ダイヤモンド社)より、記事を厳選してお届けします。
フィンランドの人びとの考え方、生き方、そして少しでもフィンランドの風を感じてもらえたらうれしく思います。
(写真:カタリーナ・ヤルヴィネン)

 

◆ 「良質な静けさ」の必要

フィンランドは日本とだいたい同じ面積ですが、人口は500万人しかいません。森や湖などの自然に囲まれ、ひとりあたりのスペースはかなり広いのです。

 それでもフィンランド人は、静けさを求めて湖のほとりのサマーコテージに行きます。多くのフィンランド人は、ひとりでラップランドにハイキングに行くことに憧れを抱いています。

フィンランド人にとって静けさは負担でもなんでもありません。むしろ、必要です。考えごとをしたいときやもの思いにふけりたいとき、かんたんに逃げこめる自然がいつもまわりにあることをありがたく思います。

 私の友だちに、奥さんと娘さんを家に残し、ワンちゃんだけを連れてサマーコテージに行く人がいます。海のそばにあるコテージで、釣りをしたり、ビールを飲んだりして静かに過ごすのだそうです。奥さんも、ひとりになりたい気持ちを理解し、賛同してくれているそうです。

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私が夏のあいだ、のんびり過ごす「サマーコテージ」
 想像してみてください。

 2月の終わり。穏やかにそこに横たわる凍った湖。絵画のように真っ白で静かな雪。静かにピンと張りつめた空気。その中をあなたは自転車で走り抜けています。ほんとはずっとそこにいたいと願うほどの安らぎを感じます。

 森に入ると、雪が自然の上に積もって、柔らかい毛布になっています。新雪の上にはウサギの足跡。一瞬、冬の太陽がまばゆい光を雲のあいだから放つと、小さく固い雪の結晶が、裸の白樺の幹のあいだを妖精のように舞うのが見えます――。

フィンランドではこんな奇跡的な場面によく遭遇します。

 心が落ち着かないときは、静けさを求めて、なにもない場所に行ってみてはどうでしょうか?良質な静けさとはこの上なくぜいたくなものなのです。

 

◆ サマーコテージで「なにもしない」

フィンランド人にとっての理想の夏休み。それは、4週間の休暇をすべて田舎の湖近くのサマーコテージで過ごすことです。生活の忙しさや町の喧騒から離れ、自然の中に溶けこむのです。

 サマーコテージとは夏の休暇を過ごすコテージのことで、多くの人は湖の近くに持っています。別荘のようなものですが、特にお金持ちの人でなくても、ふつうに働いていればサマーコテージを持っている人はたくさんいます。フィンランド人にとって、夏をコテージで過ごすことはふつうのことなのです。

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モニカ・ルーッコネン Monika Luukkonen
フィンランドに住む作家・ノンフィクションライター。フィンランドのライフスタイル専門家。1971年フィンランド生まれ。企業のマーケティング担当としてフィンランドと日本を往復したり、日本に滞在した経験をもつ。2000年より翻訳家、作家としての活動をはじめ、現在は「Monika Luukkonen Literary Agency」を経営。フィンランドのシンプルな生き方、考え方を世界に広めるべく、情報発信を続けている。ひとり娘の母。著書に『ふだん着のフィンランド』(グラフィック社)がある
 コテージにいるあいだ、特別なことはなにもしません。「なにもしないこと」が必要なのです。なにもしないことが、冬から次の夏まで続く仕事や家事、育児などの役割をしっかりとこなす力を養ってくれます。

 私のサマーコテージ生活では、湖の近くの石の上に座って瞑想をします。なにもない空間を見つめ、湖の向こう側の岸を眺めます。そして、本を数冊読み、親せきと会います。田舎道の両側にある森の中を長い時間散歩します。シンプルに、地元でとれたものを食べます。

 それから、冬に備えて菜園のイチゴや野生のブルーベリーを摘み、プレザーブにしたり、冷凍したりします。夏のごちそうを隠して冬じたくしているリスのように。これで冬に夏をまた楽しむことができます。そして、ビタミンも保存できるのです。

 この夏は特にブルーベリーで冷凍庫をいっぱいにしました。夏を存分に楽しみ、冬に備えつつ、冬を楽しむための準備もするわけです。

フィンランド人は、自然と静けさにかこまれたサマーコテージで、家族とともにゆっくりとした時間を過ごすことが好きです。それが豊かさなのです。この「なにもしない」ぜいたくな時間を一年間ずっと楽しみにしているのです。

 

〈情報ソース〉

http://diamond.jp/articles/-/102520?display=b