全国初!北欧雑貨ストア「フライング タイガー コペンハーゲン×UR」のモデルルームが名古屋に

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UR賃貸住宅の構造を生かしつつ、団地が「北欧のライフスタイル」へ一新!


UR賃貸住宅と聞くと「URって何?」派と「団地という認識」派という2派に分かれるのではないだろうか?以前URに5年間住んだ筆者も、最初は「レトロな団地」というイメージを持って見学に訪れた一人。でも、築10年前後の物件を見て「一般的な賃貸マンションと同じ雰囲気なんだ」と良い意味で想像が裏切られ、入居を決めたのを覚えている。

このような「URの持つイメージの相違や認知度不足が今の課題」と話すのは、UR都市機構 中部支社 住宅経営部の野村祐平さん。
UR賃貸住宅のストックを活性化させるためには、若い夫婦や子育て世代をいかに呼び込むかがカギとなります。35歳以下の入居者を対象とした『U35割』や子育て世代を対象とした『そのママ割』など若年層向けの賃料の割引制度を実施していますが、そもそも若い世代はURについての認知度が低いということが課題でした」

というのも、新築物件ができれば仲介会社でも評判になりやすいが、UR賃貸住宅はいわば街の風景の一部としてなじんでいるため、常に話題をつくって注目度を高めていく必要がある。若いファン獲得を目指すプロジェクトを模索する中、デンマーク発の北欧雑貨ストア「フライング タイガー コペンハーゲン」と組んでモデルルームをつくるという話が持ち込まれた。

「2015年夏に名古屋栄ストアがオープンし、私の娘も興味を持っていたので、フライング タイガー コペンハーゲンさんのことは知っていましたが、いったいどんなコラボレーションになるのか、ちょっと想像ができませんでしたね」(野村さん)

ついに2016年8月、「フライング タイガー コペンハーゲン」と、インテリアやDIYの知見を持つウェブサイト「DIYers」、そして主婦・読者モデル・クリエイターとして活躍する柴田麻衣子さんのコラボレーションによるモデルルームプロジェクトが名古屋で始動。URとフライング タイガー コペンハーゲンのタッグは全国初の取り組みだという。団地の一室がどんな北欧スタイルの部屋に変わったのか?またプロジェクトの効果についても聞いてみた。
URからの要望は「北欧ライフスタイルの提案」と「URにはない発想で」

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▲有孔ボードを貼れば賃貸住宅でも雑貨を自在に飾ることができ、インテリアの楽しみが広がる


今回のモデルルームがつくられたのは、名古屋市名東区の『アーバンラフレ虹ヶ丘南』。住みたい街ランキングで常に上位となる「星ヶ丘」エリアが選ばれた理由とは?

星ヶ丘エリアにはUR賃貸住宅が約2,000戸ありますが、築10年~20年経っていることもあり、エリアの活性化を図りたいと思っていました。またフライング タイガー コペンハーゲンさんにとっても、名古屋栄ストアに行きやすく、お店のターゲット層である若い女性が集うエリアでもあり、双方の利点が一致したのが大きかったですね」

同プロジェクトを進めるにあたり、UR側からは、賃貸住宅という前提条件はあるが、「新しい北欧ライフスタイルの提案」とだけ要望し、あとは「自由にデザインしてください」とお任せしたという。「私たちが口出しすると、フライング タイガー コペンハーゲンさんとタッグを組んだ意味がなくなってしまいます。むしろ、URには絶対できない発想を期待していました」と野村さんは微笑む。

かくして提案されたモデルルームのプランは「想像を超えていた!」そうだ。何といっても「リビングダイニングと子ども部屋に人工芝を敷く!?」という提案には、URのスタッフ一同、驚かされたという。
もうひとつ、野村さんは「壁の使い方」にも感激。賃貸住宅は広い面積を占める「壁」の装飾ができないのが悩みのタネなのだが、同モデルルームではその問題が鮮やかにクリアされている。
「壁面ですが、2×4材の両端にツッパリの金具を付けて、それを支柱としてその上に有孔ボードや木目板を張って『板張りの壁』に仕立ててあります。これにより、木の温もりが加わり、雑貨を自由に飾ることができます。壁に打ち付けたり、クロスを剥がしたりせずにできるというアイデアに、なるほどと思いましたね」

こうして約2ヶ月の準備を経て、2016年9月末に「フライング タイガー コペンハーゲン×UR賃貸住宅」のモデルルームが公開された。さっそく“団地”というイメージを覆す全貌を紹介しよう。
お店にとっても「雑貨を楽しむ暮らし」をリアルに提案できる場に
モデルルームのコンセプトは『Hygge(ヒュッゲ)』。聞き慣れない言葉だが、これは“人と人とのふれあいから生まれる、温かな居心地のよい雰囲気”を意味するデンマーク語。かの「スマイル0円」のように、デンマークの飲食店では「ヒュッゲ0クローネ」と書かれていることがあるそうだ。
また冬の長いデンマークでは「家の中でいかに快適に過ごすか」という暮らしの工夫に長けている。そこで今回は、外で遊べない冬でも“アウトドア気分”を味わえるようなアイデアが盛り込まれた。

まずはリビングを拝見。リビングダイニングはウッドの壁が張られ、床は一面人工芝になって爽やか。室内なのにティピー(円錐型テント)やパラソルセットが置かれ、話題のグランピングを楽しんでいるような気分に浸れそうだ。「気に入ったのは、トートバッグをアレンジしたクッションですね」(野村さん)

子ども室は、壁に有孔ボードと黒板加工が施され、落書きができるワクワクした空間に。「歯ブラシ立て」をペン立てにしたり、「プランター」を壁掛けの小物入れにしたりと、子どもたちの片づけ習慣が身に付くアイデアが満載。フライング タイガー コペンハーゲンの雑貨の横には、商品説明が書かれたPOPがあり、モデルルームを見学しながら雑貨選びをしているような心持ちにもなれる。

「フライング タイガー コペンハーゲンさんにとっても『この雑貨かわいいけれど、どう使おう』と店頭で悩むお客様へ向けての生活提案がなかなかできていないという思いがあったようで、コラボレーションを良い機会ととらえてくれました。実際に全国の店舗ではVRを使って虹ヶ丘南のモデルルームを体感できるようになっていて、いい相乗効果が生まれたと感じています」

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▲フラワーポットを使ったワインクーラー、ソープディッシュのサングラス置き、歯ブラシ立てを使ったペン立てなど柔軟な発想がいっぱい。お店には照明の商品も多いため、夜のシーンも提案されている


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▲同モデルルームは自由に内覧できる。UR賃貸ショップ星ヶ丘へ連絡の上、鍵を借りて現地へ


モデルルームを公開して3ヶ月がたち、反響はどうだろうか?野村さんに尋ねると「20~30代に向けた話題づくりという我々が狙っていた目的は果たしていると思います」と話す。

実際、コラボレーションのリリースを発表してからメディア露出が増えたこと、そしてUR・フライング タイガー コペンハーゲン・DIYersという3社の公式ウェブを使って部屋づくりの経緯を配信したこともあり、確かなPR効果を感じているそうだ。

「賃貸住宅は間取りと家賃だけで比較されがちですが、UR賃貸住宅は、団地内に緑が多く、保育所が近いなど共用部分や環境面においても魅力があります。今回のコラボレーションモデルルームで『UR』の存在を知り、興味を持ってもらうことがこのプロジェクトの狙いです」と野村さん。話題の鮮度を保つために、モデルルームは期間限定での公開を考えているとのこと。今後も、関心を集めるコラボ企画があればフレキシブルに取り組んでいきたいという。

「これがUR!?」という驚きを狙った、今回のコラボレーションプロジェクト。どこの賃貸住宅でもマネできるアイデアではあるが、URの「団地」というイメージを変える一手となっている。
このように名古屋エリアのUR賃貸住宅では、2015年から無印良品IKEAとコラボした商品など、新たな取り組みを積極的に展開中だ。次回は「斜めに廊下が伸びる部屋」「大きな厨房のある部屋」など、ともすれば住む人が限定されてしまいそうなほど“尖った”リノベーションプロジェクトを紹介したい。

 

フライング タイガー コペンハーゲン × UR
http://www.ur-net.go.jp/chubu/flyingtiger_ur/